国立大学法人筑波技術大学 筑波技術大学は視覚障害者?聴覚障害者のための大学です。

トピックス

  • 2025年2月25日
  • 研究

保健科学部の竹下教授の論文が国際誌に掲載されました

保健科学部の竹下浩教授の論文が、Journal of Business and Psychology(JBP)に採択されました

【研究内容】
支援技術の進歩にも関わらず、事務職における視覚障害者の就業環境の整備は不十分です。活躍の障害となっている現象は「両側の躊躇」と呼ばれ、 管理者は視覚障害のある従業員への仕事の割り当てを遠慮し、従業員は視覚を必要としない仕事を会社側が準備するのを待っているという状況が生じています。
先行研究では所与の状況における態度に影響する要因を解明してきましたが、状況自体を改善するための示唆はありませんでした。そこで本研究では、状況改善を可能にする「過程の理論」を発見することを目的としました。
インタビューにより得られた、日本で就業している事務職24人(視覚障害者11人と管理者13人)のデータを分析した結果、コアカテゴリー「無意識の原因追求の標的」が浮上し、 視覚障害者や管理者は業務が上手くいかない原因を無意識に「障害」か「他者」か「自己」のせいにしていることが明らかになりました。
つまり、視覚障害のある従業員が業務を遂行できるかどうかは視力ではなく、従業員と管理者の考え方と行動の組み合わせで決定され、 「両側の躊躇」を克服するためには、双方が自分にできることを模索することが鍵となることが示唆されました。
さらに、本研究の分析結果を用いて、視覚障害のある従業員?管理職?経営者に向けた実践的な取り組みについても示されました。

【論文情報】
雑誌名:Journal of Business and Psychology
論文名:Developmental Interactions Between Employees with Visual Impairments and Their Sighted Managers: A Process Theory.
著者:Takeshita, H.
DOI: https://doi.org/10.1007/s10869-025-10005-y
URL: https://link.springer.com/article/10.1007/s10869-025-10005-y

(広報室/2025年2月25日)